」二重スパイ事件ほどうってつけのものはあるまいUSA(アメリカ)発信・米国情報局

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ゴールデンウィークは仕事もなくのんびり過ごせそうなので、映画をハシゴするか、いやいや競馬にブチ込むかという二者選択に苦悩する今日この頃(笑)USA(アメリカ)発信・米国情報局!!まぁ、今のところ見たいのは『紀元前1万年』と、クライヴ・オーウェン、モニカ・ベルッチ、ポール・ジアマッティという何とも魅力的なキャスト(おまけにチラシの図柄がやたら良い! ああ、ぼくのモニカ・・・)による『シューテム・アップ』くらいで、後者は大阪じゃ今月末公開だし、やっぱ競馬だなUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!「生活(!)」かかってることだしUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!ハハ...

この時期の競馬場ほど「美しい場所」は、少なくともこの日本にあるんだろうか? 陽光に際立つ芝生の緑の鮮やかさと、黄金色に舞い上がるダートの土けむり、そして艶やかに光る馬たちの肌USA(アメリカ)発信・米国情報局!!・・・ギャンブルという最も下世話で生臭いカネと欲の渦巻く場が、同時に、現代における「神話」創生の場であり得るということを、たぶん実際そこに立ったことのない者にはわかりっこないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!とりわけ、信じられないほど「強い馬」がターフを走る姿は、馬に賭けることが馬が「翔ける」ことを目撃することへと変わる瞬間なのであり、もう勝ち負け(=損得)すら超越する瞬間だ(・・・もちろん、後にオケラのやるせなさをひしひしと感じることになるんだけれど)USA(アメリカ)発信・米国情報局!!

そうした「強い馬」が競馬場にいるだけで、物語など、〈神話〉など、いともたやすく産まれ、語られる、そんな程度のシロモノに過ぎないという想いにとらわれてしまうUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そして、"そんな程度"のものに汲々と拘泥する映画(と、それを見て喜ぶ自分)なんぞ、ナンボのもんやねん! ・・・とUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!(今年の小生の場合、そういう馬の1頭になってほしいのが青葉賞に出走する「マゼラン」号USA(アメリカ)発信・米国情報局!!がんばれ!)

もっとも、翌日にはそういった昂揚感などすっかり忘れて、ジャック・リヴェット監督やチャウ・シンチーの新作の報に心ときめかすワケなのですが(笑)

ということで、みなさん、素敵なゴールデンウィークをお過ごしくださいUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

 


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4000字映画劇場・上映作品
『アメリカを売った男』(2007・米/ビリー・レイ監督・脚本)


2001年2月に、FBIのベテラン捜査官がスパイ容疑で逮捕されたUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!その男は、アメリカの国防に関する極秘文書を、実に20年以上にもわたってソ連=ロシアに売り続けていたというUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!その情報によって何十人もの諜報部員や協力者が殺され、世界各地で組織の不祥事が発覚したUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そうした被害の全貌は、未だ明らかにされていない......USA(アメリカ)発信・米国情報局!!

というのが、『アメリカを売った男』という映画のもととなった事件のあらましUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!2001年といえば、例の同時多発テロがあった年だUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!"9・11"の衝撃でいささかかすんだ感があるこのスパイ事件だけれど(少なくともぼくは、そんな事件があったことすら忘れていたーーというか、たぶん知らなかったUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!いやはや)、あちらでは「米国史上最大の情報災害」といわれているそうなUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!う~ん、なるほど「災害」ですかUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

そういえば少し前にも、"アメリカの駐イラク大使の妻は、CIAの諜報部員[エージェント]だ"と暴露するスキャンダルが巻き起こったUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!これは当時の副大統領チェイニーの側近が情報を漏洩[リーク]したとされ、つい最近も裁判で判決が出たはずだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!この騒動そのものは、ブッシュ大統領のイラク政策に批判的だった大使を窮地に陥れるための陰謀という風評がもっぱらで、これまた、さもありなんという気がする(だとしたら、自国のためにカラダをはっている諜報部員ーーしかも、ブロンド美人の女スパイ!ーーを危機にさらすという、最低の「裏切り」を時のブッシュ政権はおかしたことになるワケだ)USA(アメリカ)発信・米国情報局!!

......東西冷戦など過去の歴史[エピック]となった現在でも、「スパイ」はなお"現役"であることUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!これは、なかなかどうして驚くべきことなんじゃあるまいかUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!ーーとは、平和ボケした日本人だからこその感想と、一笑に付されるかもしれないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!もちろん、テロリストや麻薬組織などがグローバル化(!)する国際情勢にあって、潜入捜査などの諜報活動は必要不可欠だろうUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!それでもこの世界の"裏側"で、周囲をあざむきながら極秘の任務に命をかける人々が実在することを知らされるのは、どこかワクワクと心躍らせてくれるエピソードには違いないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

中でも、21世紀に入ってなおこれほど"大物"の二重スパイが現れたとは! ......不謹慎かもしれないけれど、この「二重スパイ」というどこか古色蒼然としたコトバの響きに、ぼくは一種陶然となってしまうんであるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!何より、「国家」に忠誠を誓いつつ裏切るという背徳的かつ犯罪的な薄暗い魅惑をたっぷりとたたえた、まさに「文学的」存在であることUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!しかも国家機密を売った先が旧ソ連であり、社会主義体制崩壊後のロシアだったというあたり、まったくもって欧米スパイ小説の「王道」そのものじゃないかUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!今どき、こんなロマネスクな人物がいたなんて! ......そう、ロバート・ハンセンというこの男こそ、ある意味"理想的"なスパイ・キャラクターを体現しているUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!この手の小説の愛好家なら、まこと事実は小説よりウンヌンという常套句[クリシェ]を、思わず口にすることだろうUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

さて、映画は冒頭で、ハンセン逮捕を発表する当時のニュース映像を映し出すUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そこからあらためて2ヶ月前にさかのぼり、FBI側がいかにこの二重スパイを追い詰め、正体を暴いたかを追っていくという展開だUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

ハンセン監視の任務に抜擢されたのは、エリック・オニールという若手捜査官USA(アメリカ)発信・米国情報局!!最初はハンセンの部下として働きながら、彼の行動を徹底的にマークせよとだけ命じられるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!けれど、FBIの大ベテランで、頑固で偏屈者だが有能なハンセンと次第に気心が知れてくるなか、オニールはこの任務が何の目的なのかと疑問を抱かずにはいられないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そしてついに、ハンセンには重大なスパイ容疑がかけられていることを聞かされるのだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

この時から観客もまた、ともに裏と表ふたつの貌[かお]を持つ彼らの行動と、その心理を克明に追うことになるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!一方は国家に忠誠を誓うら、国家を裏切り続けてきた売国奴USA(アメリカ)発信・米国情報局!!そしてもう一方は、そんな男の忠実な部下となり、その信頼を得ることで彼を破滅させようとするUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!......ここで興味深いのは、ハンセンが信頼厚いFBI捜査官であることと国の裏切り者であることが、何の矛盾もなく彼のなかで両立しているらしいことだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!対するオニールは、ハンセンに忠実でありつつ裏切ることに、ある種の逡巡や葛藤を抱えていることが描かれる(ちなみに本作には、実在のオニールが"特別顧問"として参加しているUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!このあたりの心理的な陰影は、たぶん本人自身の体験が反映されているんだろう)USA(アメリカ)発信・米国情報局!!その上でハンセンを欺き、罠にかけようとすることの"危うさ"が、サスペンスを生み出す原動力となっているあたり、なかなか見事な構成だといって良いUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!観客は、次第に追いつめられていくハンセンがいつオニールの"嘘"に気づくか、その一点においてハラハラしながら見守ることになるからだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

だが、そういった心理的な攻防戦以上にこの映画がめざそうとしているのは、あくまでロバート・ハンセンという男の複雑な人間性であったはずだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!それは、監督・脚本を兼任したビリー・レイの、《私は偽装についての物語に惹かれる傾向にあるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!あるいは、その中間で真っ二つに引き裂かれるキャラクターに惹かれているだけなのかもしれないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!彼らは様々な側面を持ち、ある種外側の人生と、非常に異なる内側の人生の両方を生きているUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!それが物語をさらに面白いものにしているんだ》USA(アメリカ)発信・米国情報局!!さらに、《ハンセンは、祖国に想像を絶するダメージを与えた、驚くべき矛盾を抱えた男だったUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!(中略)そのような人物をどうしても映画化したいと思った》というコメントからも窺えるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!《真っ二つに引き裂かれるキャラクター》といい、《驚くべき矛盾を抱えた男》こそ、二重スパイの「本質」に他ならないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!というか、そういった《矛盾》を矛盾なく生きる(!)ことが出来る者こそが、真の意味での「二重スパイ」なのだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!本来なら、そのことを描こうとするべきはずだったUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

......はずだった? そう、映画はこのハンセンという男を、"愛国者を装いつつ売国奴である"ことを平然とこなせる人物であるのか、あるいは"愛国者にして売国奴だった"のか、結局のところあいまいにしたまま幕を閉じるのだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!確かにこの男の、表向きは謹厳実直かつ信仰にも厚い、けれど自分の妻とのセックスをビデオに撮っては投稿しているという倒錯趣味を併せ持つ人物像が、極めて説得力をもって描かれる(もっともその功績は、クリス・クーパーの腹芸たっぷりな快演によるところも多いのだけれどUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!まったく、いぶし銀とはこの役者のためにあるような表現だ)USA(アメリカ)発信・米国情報局!!しかしそれらは、彼が二重スパイであることに対して、ほとんど何の答えにも、暗示にすらなっていないんであるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

たとえばスパイ小説の大家ジョン・ル・カレによる『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』や『パーフェクト・スパイ』などで、組織の中枢にいながら国を裏切る二重スパイたちは、思想や信念の問題として、あるいは逃れざる運命的なものから"国を売る"こととなったUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!ル・カレ作品では、熾烈な諜報戦を通じて、二重スパイの《矛盾》をあくまで人間の「弱さ」や「脆さ」へと帰納させていくUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そこから、人間この哀しき存在への諦観が、読者をして圧倒的な感動へと導くんであるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

対して、英文学の巨匠グレアム・グリーンのスパイ小説『ヒューマン・ファクター』に登場する二重スパイは、あたかも「二重スパイ」であることが自分にとっての必然(!)であるかのように、平然と任務をこなし、極秘情報をソ連に流し、同僚を"身代わり山羊"にするUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そこには、ル・カレ作品のごとき「人間的」なるものへと帰結するような動機や背景が、まるで存在しないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!あったとしても、それは決して事の本質ではないのだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!まさに《矛盾》を矛盾のまま平然と生きること、それもまた「人間の要因[ヒューマン・ファクター]」であることをグリーンの小説は告げるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そして読む者は、その"空虚な深淵"ともいうべきものをのぞき込むことで、畏怖の念に打たれるんであるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

《矛盾》ゆえに破滅するか、矛盾のまま受け入れるかUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!ーーいずれにしろ二重スパイは、「二重」であることによって引き裂かれた存在であり、Aであると同時にAではないという「二重拘束[ダブルバインド]」を、身をもって生きざるを得ない者たちであるだろうUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!それは《異次元の相矛盾する二つのメッセージを受け取った者が行動不能に追い込まれた状態》(『広辞苑』)であり、常に統合失調症(=精神分裂症)的な危機にあるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

しかし前述の通り、この『アメリカを売った』は、監督自身が「驚くべき矛盾を抱えた男」というハンセンの、その《矛盾》に立ち入ろうとしないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!彼が二重スパイであることの「意味」に、ほとんど触れようとしないんであるUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!あたかも、この男が「二重スパイ」であることは端的な事実であり、そこにいかなる理由も不要だといわんばかりに......USA(アメリカ)発信・米国情報局!!そこに不満を持つ向きも、決して少なくはあるまいUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!これじゃあまるで、ただ大物スパイ逮捕の顛末を再現しただけのドラマじゃないかとUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

ただ、そこで言われている《矛盾》が、実のところ「二重スパイ」としてのハンセンに向けられたものではないことを、ぼくはほぼ確信しているUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!......ハンセンは、オニールが何者であるか気づいていたUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!少なくとも監督のビリー・レイは、明らかにそういう視点から本作を撮ったUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!それはハンセンが、自分と共通する《真っ二つに引き裂かれる》者の姿をオニールに見出したためではないかUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!その時オニールは、彼にとって精神的・象徴的な意味で「息子(!)」に他ならないUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そうしてこの映画は、実在した二重スパイの逮捕劇という以上に、父と子の相克をめぐる一種の「父親殺し」のドラマーーオイディプス劇として、ぼくたちの前に現れるのだUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

あまりにも穿ち過ぎな見方だろうか? けれども、一見するとシンプルなこの映画には、そんな"深読み"へと誘う多義性があることUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!それだけは間違いないだろうUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!もっというなら、たぶん本作の魅力の(ぼくにとっての)魅力の大部分が、その一点にこそあったUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!......そう、《神話》とは常にこういった「卑小」でドメスティック(!)な次元で語られ、紡がれるものであったのだし、これからもそうであるだろうUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!そうして、現代における「父親殺し」のドラマを創造するに、なるほどこの「実話」二重スパイ事件ほどうってつけのものはあるまいUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

とにかく、前述の通り驚くべき名演を見せるクリス・クーパーや、オニールを演じたライアン・フィリップ、オニールの上司でハンセン追及の指揮をとるローラ・リニー(いやぁ、何というカッチョよさ! 『フィクサー』のティルダ・スウィントン以上に凄い! 渋い! 最高!)などといった役者の演技、さらに撮影監督タク・フジモトによる見事な画面を眼にするだけでも、じゅうぶん"もと"は取れるはずだからUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!と、これだけは断言しておこうUSA(アメリカ)発信・米国情報局!!

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このページは、shizukaが2008年5月24日 02:59に書いたブログ記事です。

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